2024.08.16
イギリス王立化学会発行の「Chemical Communications」に、当社製薬研究所 加賀敦志、齊藤颯、山野光久が執筆した論文が掲載されました。
掲載誌: Chemical Communications (First Published: 25 July 2024)
URL: https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2024/cc/d4cc02471k
DOI: 10.1039/D4CC02471K
タイトル: Divergent and chemoselective deuteration of N-unsubstituted imidazoles enabled by precise acid/base control
著者: Atsushi Kaga, Hayate Saito, and Mitsuhisa Yamano
概要:
重水素化合物は、微量定量分析における内部標準物質など、広範な用途で利用されています。近年では、医薬品の有効成分に含まれる特定の水素原子を重水素で置き換えた重水素化医薬品が注目を集めています。医薬品の水素原子を重水素に直接置き換える方法(直接的重水素化)はコストや簡便性に優れた合成戦略ですが、特定の位置に、必要な数だけ重水素を導入することは困難でした。今回加賀らは、酸塩基条件を適切に制御することで、医薬品で頻出する鍵骨格の一つであるN-無置換イミダゾールの位置選択的な重水素化を実現しました。従来の遷移金属触媒を用いた手法とは異なり、医薬品に含まれる他の置換基の影響を受けることなく、N-無置換イミダゾール環のみを選択的に重水素化できます。医薬品を含めたイミダゾール環の直接的な重水素化技術の確立により、単一の原料から多様な重水素化イミダゾールの合成が可能になりました。本研究は、スペラファーマ独自の成果です。
スペラファーマでは、対象化合物の重水素化体の合成検討を多数ご依頼いただいており、その課題にソリューションを提供し続けております。
これからも培った技術と経験を活かし、お客さまの課題解決をサポートし迅速な医薬品創生に貢献して参ります。
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