2021.04.01
スペラファーマ研究員が、日本薬学会第141年会 シンポジウム にて以下の講演を行いました。
日 時:2021年3月29日(月) 15:30~18:00
主 催:日本薬学会
内 容:日本薬学会第141年会 一般シンポジウム
「有機合成化学の若い力:複雑分子を操る有機合成化学者たち」革新的創薬と持続的医療の融和
演 者:スペラファーマ(株)製薬研究本部 山田 雅俊
テーマ:5点の不斉炭素を有するNK2拮抗薬TAK-480の不斉水素化反応を利用した工業的製造法の開発
概 要:NK2受容体拮抗薬として開発が期待されたTAK-480の不斉合成を駆使した効率的かつ工業的な製造法を報告しました。TAK-480は、5つの不斉点を有する化学構造であり合成化学面において極めてチャレンジングでした。合成戦略として、2点の不斉点を有するシクロヘキサンカルボン酸パーツと3点の不斉点を有するヘキサヒドロピロロキノリン環パーツに分類しました。前者は、新しいRu触媒を用いた四置換エナミドの不斉水素化を適用することで、高ジアステレオおよびエナンチオ選択的に反応が進行し再結晶を得て光学的に純粋なものを得ました。1),2) 後者は、一気に四段階の反応が進行する触媒的ドミノ反応を新たに見出し、大幅な短工程化を実現できる画期的な合成法を開発しました。1),3) いずれの合成も前臨床試験用原薬のためのキログラム製造に適用し、得られたそれぞれの光学活性体は縮合させることで原薬へと導くことに成功しています。
武田薬品工業株式会社時代の研究成果ですが、その不斉触媒技術はスペラファーマに引き継がれさまざまなプロジェクトでお客さまの課題解決をサポートし、迅速な医薬品創生に貢献しています。
References: 1) Yamada, M.; Usutani, H.; Yamano, M. WO 2013146987, 3 October 2013. 2) Kajiwara, T.; Konoshi, T.; Yamano, M. Catal. Sci. Technol., 2012, 2, 2146–2152. 3) Yamada, M.; Usutani, H.; Ito, T.; Yamano, M. Org. Process Res. Dev. 2014, 18, 788-792.
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